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【レビュー】中室牧子著「学力の経済学」を読んで今までの私の中の教育の常識が覆った話。

children

 どうもです。二人の娘のパパです。

 

 面白かった本のご紹介。

 

科学的根拠のある教育方法が学べる 

 

この本が出るまでの教育本は、どちらかというと有名大学に子どもを入学させた著者が、「私はこういう方法で子どもを〇〇大学に合格させました」的な本が多かったのですが、やはりこういう科学的データから語る教育学には説得力があります。

 

読んだ中で面白かった部分のメモの一部をご紹介したいと思います。

 

・インプットにご褒美を与えると、子どもたちは本を読んだり、宿題をしたりするようになるのでしょうが、必ずしも成績がよくなるとは限りません。 一方、アウトプットにご褒美を与えることは、より直接的に成績をよくすることを目標にしているのですから、直感的には、アウトプットにご褒美を与えるほうがうまくいきそうに思えます。

しかし、結果は逆でした。 学力テストの結果がよくなったのは、インプットにご褒美を与えられた子どもたちだったのです。

 

・ニューヨーク市立大学のロドリゲス准教授は、子どもの学習の面倒をみる指導者や先輩がいる場合には、アウトプットにご褒美を与えても学力が改善することを発見しまし た。指導者や先輩が、目標のためにどのように努力すべきかについて具体的な道筋を示してくれたからです。

 

 ・自尊心を高めるメッセージを受け取ったグループの学生は、受け取らなかったグループの学生よりも、期末試験の成績が統計的に有意に低かったことが示されました。この研究は、 学生の自尊心を高めるような介入は、学生たちの成績を決してよくすることはないことを示しています。また、このような介入が、すべての学生に悪影響だったわけではなく、とくにもともと学力の低い学生に大きな負の効果をもたらしたということも明らかになっています。

 

・ミューラー教授らの論文のタイトルどおり、「能力をほめることは、子どものやる気を蝕む」(“Praise for intelligence can undermine children's motivation”)のです。

子どもをほめるときには、「あなたはやればできるのよ」ではなく、「今日は1時間も勉強できたんだね」「今月は遅刻や欠席が一度もなかったね」と具体的に子どもが達成した内容を挙げることが重要です。

 

・ゲームについても同じです。ハーバード大学のクトナー教授らは、中学生を対象にした大規模な研究によって、ゲームが必ずしも有害ではないことを明らかにしています。それどころか、 17 歳以上の子どもが対象になるようなロールプレイングなどの複雑なゲームは、子どものストレス発散につながり、創造性や忍耐力を培うのにむしろよい影響があるとさえ述べています。

 

・1人の問題児によって、他の児童が新たな問題行動を起こす確率は 17%も高くなると推計されています。 問題を抱える子どもを放置しておくことなく、速やかに十分なケアを行うこと。これは、本人のためだけでなく、他の子どもたちへの負のピア・エフェクトから考えても妥当だといえるでしょう。

 

・経済学では、「将来子どもが高い収入を得るだろうと期待して、今子どもの教育に支出をする」のは「将来値上がりすると期待して株を買う」のと同じ行為だと考えます。もう少し経済学的に表現すれば、教育から得られる「便益」から教育に支払う「費用」を引いた「純便益」が最大化するように、家計は教育投資の水準を決定しています。

 

・教育経済学の研究蓄積にはまだまだ議論が収束しないテーマも多いのですが、どの教育段階の収益率がもっとも高いのか、と聞かれれば、ほとんどの経済学者が一致した見解を述べるでしょう。 もっとも収益率が高いのは、子どもが小学校に入学する前の就学前教育(幼児教育)

 

・ヘックマン教授らは、学力テストでは計測することができない非認知能力が、人生の成功において極めて重要であることを強調しています。また、誠実さ、忍耐強さ、社交性、好奇心の強さ―これらの非認知能力は、「人から学び、獲得するものである」ことも。 おそらく、学校とはただ単に勉強をする場所ではなく、先生や同級生から多くのことを学び、「非認知能力」を培う場所でもあるということなのでしょう。

 

・行動経済学を専門とする大阪大学の池田教授の研究も、とても興味深いものです。 この研究では、子どものころに夏休みの宿題を休みの終わりのほうにやった人ほど、喫煙、ギャンブル、飲酒の習慣があり、借金もあって、太っている確率が高いことを明らかにしています。 

 

今まで何となく聞いていた子どもの育て方の概念が覆されました。

 

学校のテストの点数が良かった等のアウトプットを褒めるのではなく、宿題をやったや本を読んだ等のインプットを褒める方が良いと言う話は驚きでした。インプットを褒めるとことを意識していなかったため、この本を読んだ日から頑張ったこと=インプットを褒めるようにしています。

 

また、「あなたはやればできる」は私もつい言ってしまいがちですが、子どもには悪影響を与えることも書かれています。私も親からよく「あなたはやればできるのだから…(頑張りなさい)」と言われていたので、それが当たり前だと思っていました。

 

この本を読んでいなければ、普通に自分の子どもにも言っていたでしょうね。

 

 また、子どもが成功するためには、学力ではなく忍耐強さ等の非認知能力がより重要だというところも面白い。他にも重要な非認知能力があり、その部分は本書に詳しく書かれています。

 

また、本の中に出てくる「マシュマロ実験」を子どもにやらせてみたいと思った次第。ただ、このマシュマロ実験、簡単にできてしまいますが、子どものその後、成功するか否かが予想できてしまうちょっとおそろしい実験です。

 

 本書は読むと今までの教育の常識が覆されるので、全てのお父さんお母さんに読んで欲しい一冊です。発売されてすぐ話題を呼び、たくさんの方に読まれた本ですが、未読の方はぜひ手に取ってみてください。

 

ではでは。